阿蘇の草原についてQ&A

阿蘇ってどこにあるの?どんな所なの?どんな魅力があるの?
など、阿蘇の素顔をQ&Aでご紹介します。キーワードは、火山人々の暮らしと草原水源動植物です。
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  • 1阿蘇ってどんなところ?
    aso阿蘇は九州のほぼ中央に位置します。世界有数のカルデラ地形があり、その中に約4万7千人もの人が住んでいます。カルデラの中央には阿蘇五岳がそびえ、周囲を外輪山が取り囲んでいます。
    阿蘇五岳の麓や外輪山に広がる草原には放牧されたあか牛がのんびりと草をはむ姿が見られ、秋には一面黄金のススキ原、冬には結氷する滝、そして春には草原を駆ける野焼きの炎、四季を通じて魅力に溢れ、年間約1,600万人を超える観光客が訪れます。
    ※阿蘇:1市3町3村(阿蘇市、南小国町、小国町、産山村、高森町、西原村、南阿蘇村)平成28年3月現在
  • 2阿蘇の草原は自然にできたもの?
    草原には2種類あり、自然のままの「自然草原」と人の手により維持される「二次的草原」があります。日本の気候の場合、土壌から草が伸び自然のままに放っておくと段階的に植生が変化し、いずれ森林へと移り変わりますが(遷移)、阿蘇では「草」を利用するために、長年にわたり人々の手(管理作業)によって「草原」の状態を維持し遷移を止めているので、「二次的草原」といえます。
  • 3草原はいつ頃からできたもの?
    約千年前に作成された平安時代の法律書「延喜式」の中に阿蘇の草原に関する記述があり、これには阿蘇郡内と推定される地名に続いて、「肥後の国の二重牧の馬は、他の群より優れた馬があれば都に献上し、他は大宰府の兵馬及び肥後国その他の国の駅馬として常備するように。(意訳)」と記され、このことから、当時阿蘇では優れた馬を生産する牧があり、その名が中央政権まで知られていたということが読み取れます。つまり、少なくとも千年前には阿蘇の人々は草原を利用し、維持する作業を行っていたと考えられています。
  • 4草原の広さはどのくらい?
    草原の面積は約22,000ヘクタール(平成23年調査)で、天草諸島の上島や石垣島とほぼ同じくらいの面積があります。約22,000ヘクタールのうち約16,000ヘクタール(約72%)を野草地が占めており、これは日本一の面積を誇ります。
  • 5あか牛ってどんな牛?
    品種としては「褐毛和種(あかげわしゅ)」と呼ばれ、おだやかな性格で粗食に耐え、寒さに強く放牧に適していることから、農耕用や運搬用の役牛として昔から阿蘇の農家で飼われてきました。明治~大正時代にかけて、在来種にスイス産のシンメンタール種という牛を交配し改良を重ねた結果、現在の大型で肉量・肉質ともに優れた肉牛としての「あか牛」が誕生しました。
  • 6草原のまま維持していくための知恵は?
    阿蘇では農耕や畜産を営むうえでの必要から、長年にわたり「放牧」「採草」「野焼き」などの作業を続けてきました。春には草原に火を入れて野焼きを行い、ヤブ化抑制や草の生産性を高めます。草が伸びだす5月から10月にかけては放牧が行われ、夏から秋にかけては牛馬のエサや野草堆肥用に採草活動が行われます。
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  • 7草原の草は何に使われているの?
    阿蘇の草原では秋がくると、採草が行われます。刈った草は牛馬のエサや牛舎の敷ワラに使ったり、茅葺き屋根の材料や、畑にすき込んだり野草堆肥を作って野菜づくりにも使います。草は大切な資源なのです。
  • 8草原に生える植物の種類は?
    阿蘇の草原に生育する植物は約600種といわれています。その中には九州が中国大陸や四国や本州と陸続きであったという大昔の歴史を物語る希少な植物(「大陸系遺存植物」「北方系植物」「襲速紀要素の植物」)もあります。
  • 9草原にすむ動物は?
    ノウサギ、キツネのほかシカ、タヌキ、アナグマ、テン、イノシシなどが見られ、草原の草の中に巣をつくるカヤネズミも見られます。野鳥では、熊本県下で記録されている約300種のうち約半数は阿蘇で確認されおり、草原性のホオジロ、セッカ、コヨシキリなどは数も多く見つけやすい種です。また、チョウ類では109種が確認されており、その中には森林だけでなく草原環境があるからこそ生息できる希少な種もいます。
  • 10阿蘇に降った雨はどこに流れているの?
    阿蘇の年平均降水量は約2,500mmであり全国平均の約2倍と雨の多い地域です。降った雨は地下にしみ込み、阿蘇を源流とする九州中・北部を流れる6本の一級河川となり海に注ぎます。これらの川の流域人口は福岡も含めると約500万人にのぼり、多くの人々の生活を支えています。
  • 11草原の危機とは?
    近年、化学肥料の普及や茅葺き屋根の減少、農業形態や生活様式の変化にともない草の利用が減少しています。また、畜産業の低迷、後継者不足などにより飼育する牛馬の頭数も減り、その結果、採草や放牧が行われることなく放置される草原(ヤブ化)が増えています。草原を管理している牧野組合でも、高齢化や畜産農家の減少により、野焼き・輪地切りなどの草原維持のための作業を続けることが難しくなってきています。
    これらのことから、草原面積の減少や草原の荒廃が進むとともに、草原景観が損なわれ、草原生態系の多様性が失われることなどが問題になっています。
  • 12草原を守るための取り組みとは?
    阿蘇の草原は生業の場であり、多くの人々に恵みを与え、多くの生きものが息づいています。この豊かな草原を未来に引き継いでいくため、阿蘇草原再生協議会では地元農家や行政、専門家、団体・個人が知恵を寄せ合い問題を共有し、草原再生を支援するための阿蘇草原再生募金活動や、野焼き・輪地切りなどの人手不足を補うボランティア、放牧牛の増頭や草の利用促進の取り組み、阿蘇の草原や文化を子ども達に伝える草原環境学習、草原文化にふれあうエコツーリズム、放棄された草原の野焼き再開・草原再生事業など、さまざまな取り組みが進められています。

 

 阿蘇の草原のイメージが膨らむものしりブック
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阿蘇ものしりブック「いざ草原へ」[PDF:4.72MB]

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